全てを取り戻して、ボク達は幸せになれるはずだった。





悠久の流れ 永遠の孤独













「ねえ、アル!」

大きな声で名前を呼ばれて、ボクはハッと顔を上げた。

そこにいるのはボクの幼馴染み。金色の髪に青い目が印象的な少女。


「どうしたの?この所元気がないわよ。」

彼女は少し心配そうにボクの顔を覗き込んだ。

「大丈夫だよ。ちょっとぼんやりはしてたかもしれないけど。」

ボクらに関してはかなり心配性な彼女を、安心させるように少し笑ってみせる。

すると彼女ー、ウィンリィは小さな溜息をついて腰に手を当てた。


「アルの大丈夫はいまいち信用出来ないのよね。いっつも無理するんだから。」

「酷いな。ボクそんなにウィンリィの信用無くす事ばかりした?」

「してないなんて言わせないわよ。自分の胸に手を当てて、よーっく考えてみなさい。」

ずいっと顔を近づけて怒ったように言うウィンリィ。ボクは思わず胸に手を当ててみた。

え〜と、ウィンリィが言っているのは、この間兄さんと組み手して倒れちゃった事かな。

ボクも兄さんも大丈夫だといくら言っても、泣き続けるウィンリィを宥めるのは大変だった。

その前の体力をつけようと食べ過ぎて胃を壊した事?あれはボクも反省してるんだけど。

それとも…。うん、思い当たる事がありすぎて、どれの事だか分からないや。


「いつも心配ばかりかけてごめんね。」

胸に手を当てたまま、えへへと笑うと、ウィンリィがもう一度今度は大きな溜息をついた。

「別に良いわ、これから無茶をしないでくれるなら。」

「肝に命じときます。」

恭しく大袈裟に頭を下げると、ウィンリィがふざけないでよ、と言いながら楽しそうに笑って。

その笑顔にやっとボクはホッと息をついた。





やっと取り戻したボク達の体。やっと取り戻したボク達の平穏な日々。

帰りたいと願っていた故郷で、昔のように暮らす当たり前の平凡な日々。

それはずっとボクらが渇望していたものだ。

だから幸せなはずだった。もう何の憂いもなく苦しみもなく生きていけるはずだった。

それは、束の間の幻だったのだろうか。

ボク達の犯した罪は、どうあっても許されるものではなかったのだろうか。





もうすでに     のだと、耳の奥で声が聞こえた。



















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