とてもーとても恐かったんだよ、兄さん 魂の叫び スカーにやられたボロボロの身体。辛うじて生き残った俺達。 最初はポツリと話始めた弟に、何て言えば良いのか解らなかった。 「兄さん、あの時僕は本当に恐かったんだ。」 「うん…。」 「お願いだから、次は逃げてね。僕の為に命を捨てようなんて思わないでね。」 「解ったから、アル。」 「…もし、兄さんが死んでしまうような事があったら…。」 「その時は僕もすぐ後を追うから。」 「な・・にを言ってるんだ!」 「何をって?そのままの意味だよ。」 「僕を残して一人で逝くなんて許さないよ。兄さんのいない世界で生きろって言うの?」 「年を取る事もない、この鉄の身体で。元の身体に戻る為に生きろって言うの?たった一人で。」 「みんな年を取っていく。いつか僕を知っている人もいなくなる。そんな世界に残れって言うの?」 「一人では意味がないんだ。兄さんが居なければ意味がないんだよ。」 「忘れないで兄さん。僕をこの世界に繋ぎ止めたのは貴方だ。僕の命を握っているのは貴方なんだよ。」 「アル…。」 「…間違えないでね、兄さん。僕は今、不幸じゃないから。だけど。」 「僕の命はいつも兄さんと共にある事を忘れないで。」 初めて聞く弟の気持ちに身震いする思いだった。 だけどそれを、どこか嬉しいと感じている自分も確かに存在していた。 |