日を弾く金色の髪が好き

意志の強さを感じさせる鋭い眼差しが好き

細いのにしなやかな体が好き

優しく触れてくるその手が好き










好き・嫌い











アルフォンスは目の前で本を読む兄の姿をじっと見ていた
そうして取り留めもなく、この人のどこが好きなのかを考える


本を読む兄の姿は、黙っていれば充分男前だ

少しだけ伏せられていつもよりも柔らかく見える眼差し
薄くて形の良い唇
時折ページを捲る指は、長くて綺麗なのに女性的な匂いは一切しない


外見に惹かれた訳では無いけれど、僕って結構面食いなのかなぁ
兄から視線を外さずに、アルフォンスは考える


生まれた時から、この兄を見ているのだ
綺麗だと思うのが身内の欲目なのか、それとも惚れた弱みなのか、アルフォンスには解らない
だけど今まで見たどんな人より、この兄を綺麗だと思ってしまう

その時、エドワードがふとアルフォンスを見る


「あのー、アルフォンスさん」
「何、兄さん」
「さっきから何やら思いっきり視線を感じるんですが…」
「そうだろうね。さっきから僕が見てるし」
「いやだからだな。何か用事?」
「用事なんて無いよ。ただ見てるだけだから気にしないで」
アルフォンスの言葉に、気にするなって言われてもなー、とブツブツ言いながら
兄はまた本に視線を移した。そしてアルフォンスは思考を再開する


身内にとことん甘いところが好き
誰が相手でも信念を曲げない強さが好き
強くなろうと足掻く姿が好き


うーん、これじゃ好きな所ばっかり。嫌いな所だってあるはずだよね


えっと、もういい年なのに牛乳飲まない所は嫌い
人前でベタベタしてくるのも嫌
隙あらば襲ってくるのも鬱陶しい
研究に熱中しすぎて、ご飯を食べるのを忘れてしまうのも嫌いだ


だけど


僕が怒ると渋々ながらも牛乳を飲んでくれる
兄さんがベタベタするのは僕だけだし、襲ってくると言う事は、僕を欲してくれてるって事
ご飯を食べ忘れるのは困るけど、何かに熱中している兄の表情は好きだった



何だ、結局嫌いな所も好きなんだ
僕って兄さんにベタ惚れ?




アルフォンスは無言で立ち上がると、ソファにゆったりと腰掛けたエドワードに近づく
そして兄の軽く組んだ足の上にちょこんと跨った


「あのー、アルフォンスさん」
「何、兄さん」
「この体勢はいったい・・・」
「気にしないで。誘ってるだけだから」
「いや、それは気にする。物凄く」
エドワードは慌てて本を横に置いた。アルフォンスからのお誘いなど滅多にあるものでは無いのだ
据え膳食わねば男の恥。というか食わせて下さい頼みます


「一体どうしたんだよ、アル」
小さな体を抱き寄せながら、柔らかなキスを交わす
その合間に当然の疑問を投げかけた

「別に。兄さんを見てたら、僕って兄さんが好きなんだなーと思って」
そしたら欲しくなったの、と平然と話す弟
いつもならあり得ないその言葉と態度に、思わず自分の頬を捻り、アルの額に手を当てた

「何。この手とその手」
「アルがあんまり嬉しい事言うからさ。アルに熱でもあるのか、俺が白昼夢見てるのかと思って」
でも違うみたいだな。するとこれは現実か

そんな兄に溜め息ひとつのアルフォンス。ちょっと兄さんそれ情けないよ

でもそんな情けない所も可愛いかも、なんて考えてる時点で僕もう駄目だよね








だから今度は自分から、

まだ何だか頭を捻って考えている兄の頬を両手で挟んで、



思いっきりキスをした














僕だけに見せてくれる貴方の表情が好き
僕だけに言ってくれる貴方の言葉が好き

だけど何より


貴方の存在自体が、何よりも大切




貴方という魂を愛してる























大好きなうまさんのサイト50000HITお祝いに書いてみましたv
以前からご要望のあったちびアルです。どどどうでしょうか?

珍しく甘甘+積極的なアルですね。
お祝いだし、偶には兄さん良い思いをしてもいいかなーと(笑)
ラブラブ甘甘書いてみたかったので、凄ーく満足ですv


追加の後書き
と言う訳で、うまさんに捧げたこのお話を
うまさんサイトでは可愛らしいイラスト付きで飾って下さっています!
結構気に入った作品だったので、こちらにもアップしましたが
はっきり言いましてこちらより、うまさん宅にて読んだ方が良いです!!
作中で書いた兄さんの膝にちょこんと乗ったアルの姿が見れますv
うまさんの可愛いお話が沢山の「Starry Night」へGOー!


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