残されたもの















俺は三つの罪を犯した



一つ目は母を蘇らせようとした罪

二つ目は弟を取り戻し冷たい鎧に閉じこめた罪

三つ目は血を分けた弟を愛した罪





どれを取っても救いがたい、愚か者の大罪だ

その上この愚か者は、更に罪を重ねようとしている

弟の身体を取り戻す

それはまた神の領域に踏み込む事だというのに



それでも、罪だと解っていても諦める訳にはいかないから



何を引き替えにすれば、弟を帰してくれる?

俺の罪に引きずられ、俺よりも重い罰を受けてしまった愛しい弟

残った手足でも、心臓でも、俺の全てを引き替えに弟の身体が戻るなら、いつだってもっていけばいい





大切なアルフォンス

いつだって一番近くにいて同じ時間を共有してきたたった一人の弟

いつだって兄を気遣い、労ってくれる優しい弟



弟で、たった一人の家族として愛しているのに

弟ではなく、たった一人の男として愛している





こんな兄の心の内を知ったら、お前はどうするのだろう



軽蔑するのか、嫌悪するのか、苦しむのか

それとも哀れむのか



差し出す代価として必要なものは何なのか

俺の残された手足か心臓か身体の全てか



身体の全てを捧げても尚足りないというのなら

最後に残されたこの想いを

アルフォンス・エルリックを愛しているという心を



もっていくがいい

















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