それは妙に大きく煌々と輝く満月の夜
その光はカーテン越しでも尚明るく二人を照らしていた
二人で向かい合ってベッドに座る
お互いの服を少しずつ剥ぎ取ってゆく
心なしか震える少女の手
その手を青年はふいに掴んだ
何も問わず、何も言わず
青年は少女の指に口づける
その感触に一瞬身を震わせた少女は
青年の気遣いを感じ、微かに微笑んだ
月光
「ふぁ、あっ兄さ…んっ!」
エドワードの熱い舌が、胸の突起を捉えた瞬間、アルフィーネの口から声が洩れる
その甘い声に、自分の中の熱が一気に一カ所に集中していくのをエドは悟った
もっとその声を聞きたくて、左手をもう片方の胸に伸ばす
するとその頂きはすでに、片方の胸への強い刺激でぷくりと立ち上がっていて、赤く色づき始めていた
両方の胸への強い刺激に、弓なりに背がしなる。その時出来た隙間にエドは右手を滑らせた
そのまま機械鎧の指先で、背筋をつぅーっと撫で上げる
「は・・・っ、ああっ!!」
ピクリと大きく体を弾ませて、アルフィーネは固く目を閉じた
初めての未知なる感覚はとても辛くて、でも信じられない程に気持ちいい
兄の触れる箇所全てが、甘く疼いて仕方ない
自分の体なのに、コントロールが出来なくて
兄の意のままに翻弄される
しばらく胸への愛撫を続けていたエドワードだったが、左手だけを下方へと伸ばす
太股をゆっくりと撫でると、奥へと滑らせた
途端にアルフィーネの体がビクリと大きく跳ね上がった
「兄さん…」
「アル…。大丈夫だから」
不安そうな表情を浮かべたアルフィーネを見て、優しく声をかけるとそっと口付けをした
そのまま左手を少しずつ動かすと、そこはすでに両胸への愛撫からとろとろと潤っていた
口の中で小さく上がった悲鳴のような喘ぎを封じ込めて、激しくならないように動きを進めてゆく
そして口付けから解放すると、アルは細く荒く息をついた
その様子を見ながらスッと身を沈め、力の抜けた足を開かせると、奥へと舌を這わせた
「ひあっ、に、兄さん、やあっ!」
反射的に閉じようとする足も、エドワードの体に阻まれて動かない
初めてでも感じやすい、固くなった芽と入り口付近を舌先で軽く突くと、中から蜜が溢れてくる
その反応を見て、エドワードはそっと指を差し入れた
「あっ、ああんっ」
それでも初めて暴かれるはずのその場所は、充分に潤っていた為か、拒絶らしい拒絶はまだ見せない
ゆっくりと小刻みに動かすと、中が蠢くような収縮を始めた
拒絶がないのをみて、エドワードは入れる指を増やしていく
「・・・っう」
指が3本まで増えた時、アルフィーネの口から微かな呻き声が上がった
だがそれも一瞬だけで、すぐに甘い喘ぎ声に変わってゆく
エドワードは、丹念にその場所を解きほぐしていった
自分を受け入れてくれるその最愛の人に、出来るだけ苦痛を与えないように
「兄さ・・ん、もぉ良い、からっ・・・」
胸元への愛撫を再開していたエドワードは、その弱々しい呼びかけに顔を上げた
そこには長い睫にたっぷりと涙を溜めて、切なげに自分を見詰めるアルフィーネの顔があった
その上気した姿に、熱を煽られそうになりながら、なけなしの理性をかき集める
「アル…、だけど」
「大丈夫、だから。お願い…」
きて・・・と聞き取れるかどうかの微かな誘いに、ここで焦らす方がアルには辛いと考え直し
そっと指を引き抜くと、左腕で太股を少しだけ抱え上げた
「力、抜いて。ゆっくり息をするんだ」
声を掛けながら、その場所に自身をあてがった。赤く誘うように艶めいた唇に口付けを落とす
そのまま舌を絡めると、無意識の様にアルフィーネが答えた
深くなる口付けに体の力が弛んだ瞬間。
エドワードはグッと腰を押し進めた。
「・・・・・っ!!」
声にならない悲鳴をあげて、その衝撃に耐える。シーツを引きちぎらんばかりに手に力が籠もった
少しずつ奥へと進めたエドワードは、ある程度の所で動きを止めた
そうして、アルフィーネの衝撃が少しずつ和らいでいくのを辛抱強く待った
やがて荒く繰り返していたアルフィーネの呼吸が落ち着いを取り戻すと、流れた涙の跡を唇で辿る
頬に額に、耳元に。掠めるような口付けを落すと、静かに瞳を開けたアルフィーネを見詰めた
その時小さくアルフィーネが頷く。それを合図にゆっくりと動き出した
「あっ、あっ兄さん!」
最初のうちはまだ痛みも残っていたのだろうその声も、ゆっくりとした気遣われながらの律動に
だんだん奥底にある感覚を引きずり出されて喘ぎ声に変わってゆく
「アル…、アル…っ!!」
「はぁん、あっあっ兄さ・・んっ!」
「はっ、アル、愛してる!」
「にいさ、ふっ、僕も、愛してる…!!」
浅く遠慮がちだった動きは、甘い声に促されて少しずつ深く力強いものへと変わっていった
初めてのその強すぎる快楽に、底なし沼に囚われるような感覚に陥る
アルフィーネは必死に自分を抱く人の背に縋り付いた
「あぁん!はあっ、にいさん、もう駄目ぇ・・・!」
その時自身を強く締め付けられて、腰の奥に痺れるような感覚が伝わった
その衝動のままに、一段深く打ち込む
再奥まで達した瞬間に、想いのまま迸る物を叩き付ける
「ああああああっっっ!!」
熱い壁が震えるように収縮すると、そのままアルフィーネも絶頂に達し意識を失った
その細くしなやかな肢体を、エドワードはそっと抱き締める
どんな時も、もう二度と離しはしないと胸に誓いながらー
ただ一人だけを愛し続けた二人の、本当の恋の成就
誰よりも幸せになるべき二人の甘く切ない儀式
その夜を、穏やかなのにどこか妖しい満月だけが見ていた