LOVE生活番外編

〜或る朝の風景〜

 

 

 

 

 

 

 

陽射しが暖かい初秋の朝。

 

 

外では「チチチチチ…」と鳥がさえずっている。

 

 

オレの意識は身体と一緒に、まだベッドの中。
一応目は覚めているものの、温かい布団から出る気にはならない。

 

 

ぼんやりとした頭のままベッドの中で寝返りを打つ。
ちょっと肌寒くて手を動かして隣にあるはずの体温を探すけれど、

手には何にも触れなかった。

 

 

「ん……。」 

 

 

どうやら、アルは先に起きてしまったらしい。
オレも起きて、手伝わないと、そう思うけれど、

 

 

身体がダルくて起きる気がしない。

 

 

…オレが起きられないのはアルのせいなんだし…まいっか。

 

 

そう自分で勝手に納得して、布団を被りなおしたらカーテンが開いて、朝日が差し込んできた。
目を閉じてるのに、瞼にあたる日の光が凄く眩しい。
抗議するように「うー…」と唸って、布団を頭からすっぽり被った。

 

 

そうしたら、誰かが…といっても、

他にこの家にいるのはアルだけで…

そのアルがゆさゆさとオレの身体を揺する。

 

 

「兄さん、起きて。朝だよ。」

 

 

布団の外から聞こえてくる、聞き慣れた優しく甘い声。

 

 

「も少し…。」

 

 

「ダメだよ。朝食が冷めちゃうじゃないか。」

 

 

ベッドの中で抵抗を試みるけど、

あっちは最終手段とばかりに、掛け布団を引き剥がしてきた。

 

 

「…ッ!!!」

 

 

…と、思ったら布団から手を放して後退りをする。

 

 

「…?」

 

 

アルが布団を放したから、オレはまた布団に潜り込む。

 

 

温っけぇ…。

 

 

布団から少し顔を出して、アルの様子を覗った。
…微妙にアルの顔が赤い気がするのは気のせいか。

 

 

怒ってる…?

 

 

「と、とにかく!さっさと起きてよ!」

 

 

ベッドから少し離れた所から、アルフォンスが言ってる。
仕方ないなー…と思って

 

 

「…オレが起きれないのは、誰のせいだと思ってんだよ?」

 

 

「誰のせいでもないだろ?」

 

 

気付いてない。
って言うか、解かるだろ、普通。

 

 

「アルのせいなんですけど。」

 

 

「僕の?そんなわけないだろ?兄さんが朝起きられないのを、僕のせいにしないでよ。」

 

 

「でも原因はお前にあるし。」

 

 

布団の中からアルフォンスを見上げる。

 

 

「だから、なんで僕のせいなのさ?」

 

 

まだ解からないか?!この鈍感…。
…アルフォンスの鈍感は今更だけど。

 

 

「……腰、痛いんですけど、アルフォンスさん。」

 

 

どうだ、これなら解かるだろ。

 

 

「だから、どうして兄さんの腰が…いた…い…………っ…!!」

 

 

どうやら気付いたらしいアルの顔は真っ赤。
わー…面白ぇかも。

 

 

「久し振りだったのはわかるけどさー

…もう少し手加減して欲しかったなー、兄ちゃんは。」

 

 

ちらっとアルを見て意地悪く言ってみると、アルフォンスの顔がもっと赤くなってく。
顔を片手で隠して俯いてる。

 

 

うーん…面白い。

 

 

もう少しアルで遊びたいところだけど、これ以上やると飯が冷めちまうから、ここまでにしておこう。
今日の朝飯はなんだろうなぁ。

 

 

「…っ…ちょっと待ってよ!起きないで!」

 

 

ベッドに手をついて、身体を起こそうとしたら急にアルに止められた。

 

「何で?」

 

「何ででも!起きる前に何か着て!」
 

 

『何か着ろ』…?

その言葉を不思議に思って自分の身体を見てみると。
ああ、なるほど。
何にも着てねえや。
昨日素っ裸で、そのまま寝ちゃったしなぁ。

 

 

「何か着ろって言われても、周りに何にもねえし…。」
 

 

ベッドの周りを探して見たけど、昨日着てたはずのパジャマや下着が見当たらない。
多分、布団の下の方にゴチャゴチャってなってるんだろうけど、探すの面倒だし。
アルに取ってもらった方が早い。
 

 

「なー。タンスからパンツと服とって。」
 

 

「…ッ…これでも着てろよ!!」
 

 

そう言ったアルが投げつけてきたのは、真っ白なアルのシャツ。
やっぱり、下着は無理か…。
でもさ、いっつも触ってるくせに何でタンスから出せねぇんだろうな。

 

 

――しかも同じ男なわけだし。
 

 

まぁ、以外に初心なアルだし、と自分で納得しアルのシャツに袖を通した。
 

 

ふわっと、何かの匂いが鼻をくすぐる。
 

 

ボタンをいくつか留めて着たシャツはダボダボ。
オレの身体がいくら小さいと言っても、この身長差は何だかなぁ…。
 

 

腕を伸ばすと、余った袖がだらんと下にさがる。
その袖をちょっと摘んでみた。
 

 

「着終わったら、さっさと起きて!」
 

 

「…………。」
 

 

その袖をそのまま、顔に近づけてみると、さっきと同じ匂いがした。
安心する、大好きな匂い。
 

 

「兄さん?」
 

 

何にも答えないオレを不思議に思ったのか、アルがオレの顔を覗き込んでくる。
その顔はさっきよりも、赤くなかった。
 

 

「聞いてるの、兄さん?」
 

 

「………がする…。」
 

 

「何?」
 

 

「……アルの匂いがする。」
 

 

 

 

 

その後、真っ赤になったアルを宥めるのに時間を取ってしまって、

結局朝食は冷めてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やまさ――――んvv2万打おめでとうございますぅ!!

やはり皆様、やまさんの作品&そしてやまさん御自身の

お人柄に惹かれての結果ですよね。

まるで自分の事のように嬉しいです!!

あの日、リンク報告を下さった事を感謝しております。

(いえ、なくてもきっと出会えてたと思いますが)

そして、こんな私でも仲良くして下さって有難うございます。

やっぱり、やまさんが好き。

やまさんの書かれる創作の優しさも、

やまさんの包み込むような優しさも。

全部くるめて大好きです。

そしてこれからも応援させて下さい。

大好きな輪廻シリーズも甘いエドアルも、そしてこっそりアルエドも。

更新を楽しみにしておりますvv

 

お祝いに…と思って作ったのですが、

ロクな話が思い浮かばず申し訳ございません;

ウチの中にあるエドアルLOVE生活の番外編…というか

アルエドヴァージョンなのですが、

いつもアルエド作品をUPさせる度にご感想を頂いてるので

今回はアルエドで。

 

それでは、これからもどうぞ、

よろしくお願い致します。

そして、今後のご活躍も楽しみにしております。


うまさんーーーー!!!
これ見た瞬間、もうもうPCの前で大騒ぎでしたよ!!
うまさんお得意の甘い二人、しかも今連載中の「Love生活シリーズ」の二人!!
そしてそして、アルエドーーー!!(ゼイゼイ)
・・・興奮しすぎました。深呼吸深呼吸

アルが攻めなのにウブなのが可愛いvvv
兄さんの腰の事に気付かないその天然さと初心さ!
そして受けでも兄貴で妙に余裕のある兄さんが良い!
幸せだー、幸せな二人だー
そんな二人を見れて私も幸せですーv

私なんぞ、あれです
いっつもまわりに甘やかされてるので駄目駄目です
サイト始めてからも、知り合った方々に親切にして頂いて
こうしてやってこれたようなものです

うまさんには本当にお世話になって、あんな風に気遣って頂いて
さらに色々と頂き物まで!!
本当に言葉では感謝の表しようがありません…!
近くだったら飛びついてちゅーしてましたよ!(ヤメナサイ)

本当にありがとうございました!
これからもどうぞ仲良くしてやって下さいませv