| 想いを交わして貴女と結ばれて、それで充分なはずなのに それだけでは満足出来ない自分がいる 貪欲なまでに貴女を求めるこの気持ちを いったい何と呼べばいいのだろう |
形が欲しかったのだ 気持ちは通じ合った。愛しい人を抱き締める事も出来る 体温を分け合って溶け合う喜びも知った でもそれだけではなくて 目に見える形で、この人が自分のものだという証が欲しかった 自分がこの人のものだという事を知らせたかった |
甘い束縛
| アルフォンスから渡されたそれは、とてもシンプルな指輪だった。 アクセサリーに慣れていないエドワードが付けていても、何の違和感もないくらいに。 まじまじと見ていたエドワードだったが、その内側中心に描かれていた小さな文様を見て驚く。 「アル、これ…。」 「うん、それが僕の気持ち。」 中心に薄く彫られていたのは血印だった。 エドワードが弟の魂を鎧に繋ぐ為に、自分の血で描いた血印と同じ文様。 「それは僕の魂の形そのもの。姉さんが命がけで刻んでくれた僕の命だから。 だから姉さんにずっと身につけていて欲しいんだ。」 それは僕が貴女に全てを捧げるという証。 この身も、想いも、そして魂を。僕の全てでもって生涯貴女一人を愛するという誓いの品。 左手の薬指は、心臓に直結しているのだという。ならば。 貴女の心臓に、命に、いつも僕を触れさせていて欲しいから。 アルフォンスの真摯な言葉。心から想ってくれている事がわかる。 だけど、本当にそれでいいの? 「俺に決めてしまって、本当にいいのか…?」 ずっと心の隅で考えていた事を、思い切って言ってみる。 「一生って、本当に一生だぞ。全ての事が俺とでいいのか? 他にお前に相応しい女や、新しい違う世界があるかも知れないんだぞ?」 姉の言葉にアルフォンスは少し苦笑した。 寂しそうな目でこんな事言って。それはとても可愛らしいんだけど。 そんな不安を抱かせていたというなら、反省しなくちゃいけない。 僕がどれだけ貴女を愛しているか、もっと知ってもらわなくては。 「全ての始まりも終わりも、姉さんとじゃなきゃ僕は嫌だ。」 真っ直ぐに自分を見詰めるアルフォンスの真剣な顔。 その目に射抜かれたように動けなくなる。 「僕は姉さん以外知らなくていいし、知りたいとも思わないよ。」 その言葉にじわりと涙が滲んでくるのが分かった。 「嬉しい・・・。」 思わずそっと抱きつくと、アルフォンスが優しく抱きしめ返してくれる。 逞しいその胸に頬を擦り付け、温もりを確かめた。 「ねえ、僕が怖くはならない?」 少しだけ腕に力を込めて、アルフォンスがエドワードに問いかける。 「怖い?どうして。」 言われた言葉の意味が分からない。どうしてそんなこと。 「だってこんなに姉さんに執着して、束縛したいなんて思ってる。 自分でも怖くなる時があるよ。このままだと僕は、姉さんを何処かに閉じ込めてしまうかもしれない。」 誰の目にも触れさせないように。自分だけのものにしたくて。 「それでもいいよ。」 そんな事全然構わない。その時はきっと自分だってそれを望むはず。 閉じ込めて、他の誰も見たくない。ずっとアルだけを見ていたい。 「自分だけがそうだと思うなよ。俺だってアルに執着してるんだから。」 だから望んでくれる事が嬉しい。 「全ての事は…、そうだな。俺もアルとしか嫌だ。」 アルフォンス以外を知る必要なんてないのだから。 エドワードの言葉にアルフォンスは微笑みその両手を取ると、 自分の手を重ねてエドワードの左手の薬指へと指輪を導く。 その一切の動きを、エドワードは目を細めて見詰めていた。 自分の薬指に光る指輪。その内側にはアルフォンスの想いが詰まっている。 今の自分の喜びを言葉にして表現するなんてとても出来そうになかったから、 想いの全てを込めて、指輪にそっと口付けた。 嬉しい、こんなにも愛せる人に出会えた事が。その人に愛された事が嬉しい。 誰に認めてもらえなくても、自分達は幸せだ。 この想いは、一生変わる事も揺らぐ事もなく続いていく。 それはすでに願いでも祈りでもなく、二人の中の衒いもない確信だった。 「…ずっと俺はお前のものだよ。この体が朽ち果てても、魂だけになっても。」 「僕の全ても姉さんのものだよ。どんな時も貴女だけを愛してる。」 姉が口付けた指輪に、自分も触れるだけのキスをする。 そのまま手にもキスをして、ゆっくりとエドワードの顔に近づいていく。 触れた唇は、いつものように、いつも以上に甘く感じた。 |
サイト1周年企画その参。リクエストはハルヒさん
リク内容は
弟アル×姉エドでプロポーズ話。砂糖吐きそうなぐらい甘ーいお話
でした
うーん、プロポーズなのかこれは…?
しかも妙にシリアスになっちゃって、砂糖吐きそうな甘い話にならなかったような…;
ハルヒさん、微妙にリクから外れてます!すみません〜(-_-;)
こここんなんで良かったら受け取ってやって下さい…!