「…ねえ、兄さん」
「なんだ?」
「いつまでこうしてるつもりなの…?」
とろんとした目で俺を見て、そんな事を聞いてくるアルフォンス
その赤くなった目元と、吐息と共に零れ出たような囁きに
何かが湧き上がってくるのを感じた
「お前の全てを知り尽くすまでだ、アルフォンス」
そうして俺は、俯せに横たわる妹の上に覆い被さっていった
禁域
体を取り戻した当初は、失った時のまま10歳の姿だったアルフォンス
そして何故か女性体になっていたアルフォンス
悩み、男性体に戻そうと躍起になる俺を諭したのは当のアルフォンスだった
『体があるだけで幸せだから
こうして兄さんの温もりを感じられる。それだけで充分だよ』
その言葉は俺にとっても真実で。性別なんて関係ない。大切なのはアルフォンスただ一人
そうして俺達の旅は終わった
時を重ね順調に背も伸び、アルフォンスは飛び級を重ねて、今セントラルの大学院に通っている
大学に通うアルはとても楽しそうだったから、俺も嬉しかったのだがー
いつからか、アルの様子が変わり始めた。妙に余所余所しいと感じる事が何度もあった
帰りが遅くなったりした事もあり、俺はアルフォンスの変化に戸惑い、案じていた
それでもアルフォンスは見た目は15歳程でも、本来は俺のひとつ下の20歳
先走る俺をいつもフォローしてくれたその精神年齢は実年齢以上だろう
だから、余り五月蝿い事は言わないように、と耐えていたのだ
だがそれはある日、アルフォンスが男に送られて帰って来た事で、脆くも崩れ去ってしまった
窓から見えたアルフォンスの、男に向けた親しげな微笑みが胸に突き刺さっていた
「アル!今の男は誰だ!?」
少しだけ雨に濡れたコートを拭きながら、玄関に入って来た途端怒鳴られて、アルフォンスが眉を顰めた
「兄さん、帰ってたの」
その素っ気ない言い方に、カッと頭に血が上るのを感じる
「聞いている事に答えろ!今の男は…」
「同じ講座の人だよ。急に雨が降ってきたから送ってくれたんだ」
そのまま目の前を通り過ぎようとする肩を掴んで、強引に自分を向かせた
アルフォンスの目が俺を見た。こんな風にしっかりとお互いを見たのすら久し振りのような気がする
「今の男と付き合ってるのか」
聞きたくないのに聞かずにはいられない。もしここでアルがそうだと答えたなら、俺は一体どうするのか
「…違うよ。違うけど、そんな事まで一々兄さんに報告しなくちゃいけないの?」
その言葉に凍り付きそうになる
「アル…」
呆然と立つ俺に一瞬辛そうな顔をして、それでもアルフォンスは言葉を続けた
「僕はもう20歳だ。体だって成人女性と大して変わらないくらいに成長した。
まだ誰とも付き合ってないけど、これから誰と付き合っても、SEXしたとしてもおかしくないだろ」
「アルフォンス!?」
「僕の事は僕の好きにする。兄さんには関係ない」
アルフォンスの言葉とは思えない台詞にその場に立ち竦みそうになったけど、
どこか自暴自棄な感じのアルフォンスの姿が気に掛かり、何とか自分を叱咤して問い詰めた
「アルフォンス、お前、何自棄になってるんだっ!?」
その言葉にアルフォンスは肩を大きく揺らして反応した
「自棄…?自棄にもなるさ。だって一緒なんだ」
「一緒…?何と一緒なんだ?」
言葉の意味が解らずに、俺はアルフォンスの言葉をそのまま返した
そんな俺をアルフォンスは悲しそうに見上げてくる
何故そんな辛そうな、悲しげな目をしているんだ、アルフォンス
それは俺のせいなのか?俺が問い詰めたからー
「…一緒なんだよ。誰と付き合おうが、誰とSEXしようが同じなんだ」
「アル…、そんな事を言うな。自分の事を軽んじるような事はー」
「だってどうでもいいんだよ!誰が相手だって一緒なんだからっ!!」
「アル!!」
激情のまま吐き出した言葉に力尽きたのか、アルフォンスの体から力が抜けていく
俺はそのまま頽れそうになるアルフォンスの両腕をしっかりと掴んだ
膝を床に着き、両腕を俺に捕られたまま、アルフォンスは力無く呟く
「相手が兄さんじゃないなら、誰だって同じだよ…」
そっと閉じた瞳から、静かに涙が零れていった
「アル…フォンス…」
今、聞いた言葉は。本当、なのか。夢にでも有り得ないと、そう…思っていたのに
「何度も何度も、自分に言い聞かせたんだよ。この想いは違うって。
あんまり長い間近くに居すぎたから、家族として、兄妹としての愛情と混同してるんだって」
あまりの衝撃に思わず力の抜けた俺の手から、アルの腕がスルリと離れて床にペタリと座り込む
「でも駄目だった。自分を誤魔化す事も出来なかった。だから苦しいんだ」
流れる涙をそのまま拭いもせずに、アルフォンスは全てを打ち明けた
「…兄さんが好きすぎて、もうどうしようもないんだ」
小さな声でごめん、と悲しそうに呟くアルフォンスを、俺は強く腕の中に抱き締めた
体が震え出すのを押さえる事が出来なかった
抱き締めた俺の背に、アルフォンスがそっと腕を廻す
「ごめんね、こんな事言い出して。…嫌な思いをさせて、ごめんね」
謝罪の言葉を繰り返すアルフォンスの体を抱き締める腕に力を込める
「謝るな。お前が謝る必要なんてないんだ」
「兄さん…?だって」
言いかけるその言葉を遮って、俺はアルフォンスに真実を告げた
「俺も同じ気持ちだから。ずっと俺は、お前が…、アルフォンスが好きだ」
「兄さ…ん…。嘘…、だってそんな…。同情なんてしなくていいんだよ…?」
「同情なんてしない。誤魔化してる訳でもない。お前を愛してる」
俺はアルフォンスを抱き締めていた右手をじっと見た
「情けねぇな。震えが止まらない。…あんまり嬉しすぎて、どうにかなっちまったのかもな」
その言葉で、ようやく俺の言葉を信じられたのだろう。アルフォンスが少しだけ体を離して俺を見た
「兄さん、本当なんだね?本当に兄さんも僕の事を…」
確認の言葉は最後まで言わさなかった。言葉よりも、もっと確かなもので伝える
初めて触れるアルフォンスの唇は、雨に濡れたせいかそれとも緊張の為か、少しだけ冷たくて
温もりを分け与える為に強く強く、何度も触れると、やがて同じ熱さに変化していく
その内それだけでは足りなくなって、思うままに貪るように激しくなる口付け
合間に洩れるアルフォンスの切なげな吐息。ふと見える潤んだ瞳と悩ましげな表情
それら全てに煽られる
やっと解放した時には、アルフォンスは荒く息をしながらぐったりとしていた
そのまま、もたれ掛かってきて顔を伏せ、アルフォンスは小さく頷いた
これからする事は二人ともわかっていた
抱えられてベッドに運ばれて、2度目の熱い口付けを受け止める
もう全てがどうでも良かったのだ
兄妹だとか、禁忌だとか、そんな事よりも
愛した人が、自分と同じ気持ちでいてくれた
それだけが全て。ーそう思う事がどうしていけない?
今、この人の熱が欲しいと思う心を、押し留める事なんて出来なかった
額に頬に優しい口付け。耳と首筋に熱い唇が這った時には思わず声が洩れた
乱れた胸元から大きな手が進入して、ゆっくりと愛撫する
その頂きに触れられた時、体に小さな電流が流れた
羞恥はあった。少しだけ恐いと思う気持ちも
でもそれよりも、兄が自分の意志で触れてくれる事が、望まれている事が夢のようで
ただ、嬉しくて仕方なかった
俺はアルフォンスのワンピースの裾を捲りあげて、露わになった太股を撫で上げた
可哀想なアルフォンスは、たったそれだけの刺激にも大きく体を揺らす
その初さが堪らなく愛しい
そうだ、アルフォンスに触れる男は俺が最初で最後
他の誰だって許すものか
そのまま円やかな線を辿って、アルフォンスが俺を受け入れる場所にたどり着く
初めてのわりには随分と感じやすいようで、その場所はしっとりと潤っていた
中心に触れるとビクリと体を震わせる
エドワードは暫く形がクッキリと露わになった箇所を下着の上から嬲っていたが
その手をそのまま下着と共に引き下ろそうとした
全てを晒される羞恥に、混濁しかかっていたアルフォンスの意識が浮上する
「兄さん、ちょっと待って…!」
「待てない。お前だって、もう辛いだろう…?」
エドワードの肩を掴み、咄嗟に兄の動きを止めようとする妹の唇を塞ぐ
「う…、はぁっ。に…いさ…っ!」
息継ぎの合間に懇願するような声が洩れたが、エドワードは動きを止めなかった
そうして全ての衣服を剥いで、アルフォンスは生まれたままの姿になった
あまりの恥ずかしさに、アルフォンスは顔を両手で覆ってしまう
その手をエドワードが掴んだ
「アルフォンス。俺を見るんだ」
その静かな声に、アルフォンスはゆっくりと手をずらして兄を見る
エドワードは真剣な表情で、アルフォンスを真っ直ぐに見詰めていた
「これから俺はお前を抱く。だからお前を抱く俺を見ていろ。俺だけを見ていろ。
この先何度抱き合っても、今日という夜は一度だけなんだ」
「兄さん…」
「…アルフォンス、愛している」
「うん…、僕も。兄さんを、貴方を愛してる」
ゆっくりと近づいてくるエドワードの顔。その目を見詰め、視線を逸らさないまま
二人は少しだけ伏せたまま、目を閉じずに口付けを交わした
初めて知った互いの熱は、身を燃やしそうな程に熱かった
2度目に抱かれたのは汗を流しに来たはずのバスルーム
よたよたとしながらそれでも何とか一人で風呂場について、汗とどちらの物とも分からない体液を流す
自分の体の中から伝い落ちるそれには、僅かに混ざる赤い筋があった
兄を受け入れた印であるそれをボンヤリ眺めていたアルフォンスがふと気付くと
寝ていると思っていたはずの、何も身に纏っていない兄の姿
兄さんも浴びる?と問いかけた自分に返ってきたのは
いや。それよりも足りないんだ。という兄の答え
お前が足りない
そのまま荒々しく抱き締められる
バスルームの中に響くシャワーの音が、やけに大きく聞こえた
立ったまま、壁に押しつけた形で揺すり上げる
エドワードはアルフォンスの双丘を掴んでいた手指を、伝い落ちたもので濡れた箇所に這わせる
そしてそのまま奥まった所にあるその窄みの周りをそっと撫でた
その途端、今までとは違った悲鳴のような声がアルフォンスの口から洩れる
壁に押しつけた体を大きく、そして小刻みに揺さぶりながら、その場所を丹念に嬲っていく
いつしか蠢き始めたその窄みに、少しだけ指を差し入れた
「ひあっ…!兄さん、駄目ぇ!!」
「何で駄目なんだ?ヒクヒクいってるぞ?」
「嫌だってば!あっ、んんんっ!」
「ここ弄くられると感じるんだろ?前も締まってくるもんな」
「いやあっ!そんな事言わないでぇ…!」
「いいから、力を抜いて俺に任せとけ」
「…ぅ…ぁあ、はあんっ!ち…からを抜けって…、そんなの無理だよ…っ」
「何も考えるな。思うままに感じれば良いんだ」
「あ…っ、や…っ、やぁぁ…!!」
伝い落ちていたもので充分に濡れていたせいか、エドワードが丹念に嬲ったせいか
抵抗らしい抵抗をみせずに、その場所はエドワードの指を受け入れた
クチクチと濡れた音と共に指を動かすと、熱く猛々しいものを受け入れていた箇所も
その快感を伝えるかのように、きゅうきゅうと締め付けてくる
そんな可愛らしいアルフォンスの反応に、エドワードは微笑んだ
「あぁ…、ぁあん…っ、にいさ…、ああ!!」
背中に感じるのは少しだけ冷たいタイルの感触。掴もうにも爪を立てる事も出来ない
アルフォンスはその腕を兄の背と首筋に廻し、必死にしがみついた
片方の足を持ち上げられ、更に不安定な体勢で兄を受け止める
爪先立ちだった左足はすぐに床から離れ、その身を支えるのは兄の手とその熱い楔だけ
自重により先程より深くなるその結合に、アルフォンスの口から洩れる言葉はすでに意味を成さなくなっていた
「ぁ…はぁ…、ぁん!もぉ…、ああぁ…っ!」
「アル…、アルフォンス」
「…ぁ、に…さ…、ーーはぁん!!」
熱っぽく自分を呼ぶ声に答えたくても、上がる熱に翻弄されているアルフォンスには為す術もない
自分の体なのに完全に自分のコントロールから離れてしまった体は、兄の意のままに甘い声を漏らすだけになる
受け入れた箇所から広がる熱と、これまで知りようがなかった快楽は、彼女の思考を崩していく
まるでこの行為の事だけしか考えるなと言うように
「熱いよ、お前の中…。凄く俺を締めつけてる…。分かるか?アルフォンス…」
そんな言葉を耳元で囁かれるたび、何をされても快感として受け止めるようになった体はその熱をきつく締め付けた
それによって互いに新たな熱が生み出され、動きも激しくなっていく
知らず、その腰が兄の律動に合わせて揺れている事に、アルフォンスは気付いていなかった
「…っ、ひぁ…あぁん、いい…っ!ーーーっ、に…いさ…、ぁあああ!」
「そ…うだ…、いいぞアル…。そのまま、ふっ、…もっともっと、狂っちまえ…っ!」
ー俺の事しか考えられなくなるようにー
「ーーぁ、ああぁっ…!ひっ、ぁっ、ーーーーーーーっ!!」
一際大きく突き上げられて、アルフォンスが震えながら柔壁を容赦なく嘖んでいたものを締め上げた
「…っ!アルフォンス…!!」
そのきつい締め付けに、エドワードは熱く滾ったものをアルフォンスの最奥へと叩き付ける
びくびくと震えながら、アルフォンスはその全てを受け止めた
完全に体の力を失って、もたれ掛かってきたアルフォンスを抱え、床に座り込むエドワード
暫く荒い息を吐きながらアルフォンスを抱き締めていたが、その体を軽々と返した
繋がれたままの強引な行為に、アルフォンスの口から悲鳴のような喘ぎが洩れる
「ひぁっ!…兄さん…!?」
先程まで抱き合う姿勢だったのに、今は背にしかその温もりを感じない
そのまま後ろから伸びた手に支えられ、もう片方の手に尖ったままの胸の頂を弄ばれる
そうされると本人の意思とは関係無しに、勝手に体は反応し、くわえた熱を締め付けてしまう
その反応をみて、エドワードは小刻みに腰を動かした
「…ぁ、あんっ…やぁっ、ああぁ!!」
熱い、熱くてもう何が何だか分からない。今追えるのは兄が与えるこの感覚の事だけ
慣れない体を嘖むような快楽を、それでもアルフォンスは甘受していた
「…っあ…ぁん!ーーーっ!?」
突然胸から下に降りたエドワードの手が、アルフォンスの一番敏感な部分に伸びた
その余りの衝撃と快感に、一瞬仰け反ったアルフォンスの息が詰まる
敏感すぎる芽を撫で、時々摘み上げると、その度にアルフォンスがエドワードを締め付ける
熱い楔をくわえ込みながら、感じすぎる箇所を同時に攻められて、アルフォンスは喘ぎ続けた
そんなアルフォンスの体を、エドワードはバスタブへと寄り掛からせる
力無くバスタブにもたれ掛かったアルフォンスの腰をしっかりと掴むと、エドワードは動きを早めた
「はぁ!…あ、あっあ…っ、にいさ、にいさ…ん!」
繰り返し自分を呼ぶアルフォンスの声、その甘さにエドワードは酔いしれた
もっとその声を聞きたくて、この熱を高めたくて、打ち付ける腰の動きが激しくなる
「ぁん!も…、にい…ああ!にい…さんっ、ぼくもぉ、だめぇ…!」
「…っ!アルフォンス…!!」
「ああ!あっ、やだぁ、なにか…!はぁ…、あぁーーーーっ!!」
その瞬間、絶頂の極みに達したアルフォンスの袂に、エドワードは己の全てを注ぎ込んだ
そうしてぐったりと脱力した愛しい人を引き寄せて、強く胸の中に抱き締め閉じこめた
この想いを受け入れてもらえるなんて思わなかった
打ち明けたら最後、きっとお前は俺から離れていくだろう…と、そう思っていたのに
まさかお前も俺を好きでいてくれたなんて、考えもしなかったから…、もう止まらない
「…アルフォンス、お前は俺のものだ。絶対に離さない…」
どこか悲しげにも聞こえるその呟きに答えるはずの少女の意識は、深い闇の中へと落ちていた
エドワードは腕の中で気を失ったアルフォンスの体を抱き締めて、
そっとその柔らかな頬に口付けをした
このお話は以前Hさま宅での女体化チャットで話が盛り上がった私が
「18禁にチャレンジしてみたいけど置き場所がない〜」とぼやいた所を、
なんと「ねのねの」の管理人ねのねさんが女体化ページに置いて下さると
言うので喜び勇んで書き上げたものです。
正直言いまして、ねのねさんがそう仰って下さらなければ、絶対書いてませんでした。
その当時は裏ページを作るつもりなんて、まったくなかったんですよ…。
ねのねさん、その節は本当にありがとうございました♪